エジプト考古学界に衝撃が走りました。ツタンカーメン王の墓以来、実に100年以上ぶりとなる新たなファラオの墓が発見されたのです。
英国とエジプトの合同調査チームは、ルクソール近郊のテーベ・ネクロポリス西谷で、第18王朝のトトメス2世の墓を発見しました。これまで未発見だった最後の第18王朝ファラオの墓として、考古学的に極めて重要な発見となりました。
調査団のフィールドディレクター、ピアーズ・リザーランド博士は、発見の瞬間の感動を次のように語っています。「天井の一部が残っており、青い背景に黄色い星が描かれていました。このような装飾は王の墓にしか見られないものです。予期せぬ発見に遭遇した時の感情は、言葉では言い表せないほどの動揺を覚えました。外で待っていた妻に会った時、涙が止まりませんでした。」
トトメス2世は紀元前1493年から1479年頃まで統治したとされ、エジプト最大の女性ファラオの一人として知られるハトシェプスト女王の夫でした。彼のミイラは200年前に発見されていましたが、本来の埋葬場所は長年の謎とされていました。
墓には大きな階段と下降する回廊があり、その規模は王族にふさわしいものでした。しかし、洪水による土砂で埋まっており、天井も崩落していたため、発掘は困難を極めました。調査チームは40センチほどの隙間をはって10メートルも進んでようやく埋葬室にたどり着きました。
興味深いことに、埋葬室は完全に空っぽでした。これは盗掘によるものではなく、古代において意図的に移動されたことが判明しました。墓が滝の真下に建設されていたため、王の埋葬からわずか数年後に洪水の被害を受け、内容物は別の場所に移されたと考えられています。
調査チームは、石灰岩の瓦礫の中からトトメス2世とハトシェプストの名前が刻まれたアラバスター製の壺の破片を発見しました。これらは墓の内容物を移動する際に割れたものと推測されています。
エジプト観光・遺跡省のシェリフ・ファティ大臣は、「1922年のツタンカーメン王の墓の発見以来、初めての王墓の発見となります。これはエジプト学と人類の歴史理解にとって、極めて重要な瞬間です」と述べています。
この発見により、第18王朝初期の王たちの墓の位置に関する謎が解明されただけでなく、古代エジプトの王族たちの埋葬習慣や当時の建築技術についても新たな知見が得られることが期待されています。
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