金曜日

信仰と医療の境界線:オーストラリアで8歳少女が命を落とした悲劇的事件

信仰と医療の境界線:オーストラリアで起きた痛ましい事件から考える

オーストラリアのクイーンズランド州で、痛ましい事件が裁判の結末を迎えました。8歳の少女エリザベス・ストルースさんは、1型糖尿病と診断されていたにもかかわらず、両親が宗教的信念からインスリン投与を拒否したことにより命を落としました。この事件は、信仰の自由と子どもの健康・生命を守る責任の間にある難しい問題を浮き彫りにしています。

エリザベスさんの両親は「ザ・セインツ」と呼ばれる宗教セクトに所属しており、医療行為に反対し、神が娘を癒すと信じていました。彼らは約1週間にわたってエリザベスさんへのインスリン投与を拒否し続け、その結果、少女は糖尿病性ケトアシドーシス(血中のケトン酸が危険なレベルまで上昇し、血糖値が急上昇する状態)により2022年1月に亡くなりました。

クイーンズランド州最高裁判所は、エリザベスさんの父親ジェイソン・ストルースさんと母親エリザベス・ストルースさんに対し、それぞれ14年の禁固刑を言い渡しました。また、セクトの指導者ブレンダン・スティーブンスさん(63)には13年の禁固刑が言い渡され、裁判官は彼を「危険で非常に操作的な人物」と表現しました。さらに、他の11人のセクトメンバーにも6年から9年の禁固刑が言い渡されました。

信仰と医療の葛藤

マーティン・バーンズ判事は約500ページに及ぶ判決文の中で、「エリザベスの両親とすべての被告を含む教会の全メンバーが彼女を愛していたことは明らかだが、彼らの行動が彼女の死を招いた」と述べています。「神の癒しの力への揺るぎない信念により...彼女は確実に命を救えたはずのものを奪われた」と判断しました。

検察側は、エリザベスさんが医療ケアを拒否されたことで、嘔吐、極度の倦怠感、意識喪失などの苦しみを耐え忍んだと主張しました。一方、セクトのメンバーたちは、少女の容態が悪化する中、彼女のためにマットレスの周りで祈りと賛美歌を歌い続けていたとされています。

さらに衝撃的なのは、彼らが少女が死亡した後も蘇ると信じ、医師を呼ぶ努力をせず、当局への通報も死後36時間経ってからだったという事実です。「エリザベスはただ眠っているだけで、また会えるだろう」と父親のジェイソンさんは法廷で述べています。

個人の信仰と社会的責任

この事件は、個人の信仰の自由と子どもの健康を守る社会的責任の間にある難しいバランスについて考えさせられます。宗教的信念は尊重されるべきですが、それが子どもの命を危険にさらす場合、どこまで許容されるべきでしょうか。

1型糖尿病は膵臓が十分なインスリンを生成できない疾患であり、インスリン注射によってコントロールすることができます。現代医学の恩恵を受けられれば、エリザベスさんの命は救われていたかもしれません。

エリザベスさんの姉であるジェイド・ストルースさんは、16歳の時に自身がレズビアンであることをカミングアウトした後、「ザ・セインツ」を離れ、家を出たと証言しています。彼女や他の証人たちは、この集団が主流の医療を拒否し、クリスマスやイースターを「異教徒の」または「神に反する」祭りとみなすなど、厳格な見解を持っていたと説明しています。

「ザ・セインツ」はオーストラリアの既存の教会とは関係なく、3つの家族から約20人のメンバーを数えるセクトです。

この悲劇的な事件は、信仰と医療、親の権利と子どもの権利、個人の自由と社会的責任のバランスについて、私たちに深い問いを投げかけています。子どもたちの健康と安全を守るために、社会としてどのような枠組みを構築していくべきか、真剣に考える必要があるでしょう。

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